2020/03/23
はじめまして、木の物語工房の薬師寺です。 全国を飛び回って集めた木たちとのエピソードを少しずつご紹介したいと思います。
今回は秋田県仙北郡のイチョウの木との出逢いです。
2019年10月、「眠っている一枚板を探しています」というDMを全国に送り、秋田県の高駒製材所から樹齢150年になるイチョウの丸太がありますとの連絡をいただき、雪が積もる前にと急いで秋田へ向かいました。 待ち合わせの9時に現地へ向かうと、電話で何度かやり取りした事務員さんが温かく出迎えてくれ、薪ストーブの心地良い事務所でしばらく待ちましたが、なかなか社長が出て来られない。
事務員さんが申し訳なさそうに、「ごめんなさい、今日クマが檻にかかっていて、社長は解体に行ったからもうすぐ帰って来ると思うんですけど…」との事。
クマ!クマの解体!?
聞けば社長の高橋さんは猟友会の会長で、クマが捕まった時は仕留めに行き、解体まで猟友会でしているとの事。
「よかったら見に行かれます?」
「え、見たいです、見せてもらえるんですか?」
「大丈夫ですよ。でも、今佳境だと思うんでけっこうすごい状態だと思うんですけどね。」 という言葉で少し勢いを削がれた所に社長が戻って来られました。
イチョウも気になるけど、クマは今私の頭を占領して離れない。
解体を見てしまったら今度食べようと思っている熊鍋も無理かもしれない。
そこでまずはクマの出没やその後どうするのか、ひとしきり質問に没頭し、写真を見せていただきました。
「あの子たちも悪さをしようと思って出てくる訳じゃなくてりんごとか食べ物を探して出てきた所で驚いたら手が出てしまうからね、決して人間を殺してやろうとか思ってる訳じゃないんですよね。」 という事務員さんの言葉に、クマと近い距離で生活しながらも駆除だけを考えず、捕まえたクマは苦しまないよう一発で仕留めて肉は美味しくいただく北国の暮らしを身近に感じる事ができました。 つづく